思春期/飯沼ふるい
遠らしさなど
見当たらず
街路を吹き抜けていく、風、
君の歩調を、否定しながら
吐き気、そして僅かな
ちりあくた、ちりあくた、
君は
髪に降りかかるくすぶった遺灰を払い
斜陽する町の影と手を結ぶ
君の季節は
日差しと共に
崩れていく
青から
赤へ
信号は
点滅します
点滅します
今、君は
交差点の不確かな空白上で
曇った銀細工のように
語ることを諦めて
歩いているのか
立ち止まっているのか
そのあわい
重ねられていく君の心音だけが
この町の
虚んだ視線に
鋭く、屹立している
戻る 編 削 Point(4)