思春期/飯沼ふるい
 
遠らしさなど
見当たらず
街路を吹き抜けていく、風、
君の歩調を、否定しながら


  吐き気、そして僅かな
   ちりあくた、ちりあくた、


君は
髪に降りかかるくすぶった遺灰を払い
斜陽する町の影と手を結ぶ

君の季節は
日差しと共に
崩れていく

 
  青から
 赤へ
  信号は
 点滅します
  点滅します


今、君は
交差点の不確かな空白上で
曇った銀細工のように
語ることを諦めて
歩いているのか
立ち止まっているのか

そのあわい
重ねられていく君の心音だけが
この町の
虚んだ視線に
鋭く、屹立している
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