傍観から批評へ/葉leaf
現代、私たちを取り巻く情報は過剰であり、かつ高速に過ぎ去っていく。そんな中で、私たちは一つ一つの物事に多くの時間やエネルギーを注げなくなっている。すると必然的に、一つ一つの物事の価値は薄くなり、その反射として、私たち一人一人の価値も薄くなってしまっている。自分が他人一人一人に大きな価値を付与できないということは、他人から見ても同じことであり、全体的に個人の価値が希釈化される。過ぎていく物事をただ過ぎていくに任せ、それに対して何らかの関与をしたり価値を付与したりしない態度を「傍観」と呼ぶことにしよう。
傍観している人間はみずから傷つくことがない。なぜなら彼は行為しないからであり、行為に対する評
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)