傍観から批評へ/葉leaf
る評価も生じないからである。傍観している人間は、傍観の対象についてただ気分や感情を漏らすだけでよい。そのことによって彼は自らの視点を再確認し、対象について簡単に結論をつけることができる。傍観によって傍観者は変化することがない。傍観は傍観者の自己確認手段に過ぎない。だがそれゆえ、傍観者は自らの価値を相対的に高めることはできないのである。なぜなら、傍観には他者からの評価が入り込まないからである。
「批評」とは、傍観に対立するものとして、物事の一つ一つにこだわり、物事の一つ一つに参与し、価値づけ、その価値づけを他者に伝え、物事の一つ一つに触発されて自ら何かしらの行為をすること、を意味するものとしよう
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