しめらない/
 
してしま
わぬよう眠っていた、目玉を垂れ流して、それらの呪術を
甘受すべく、芝刈機の喧しさと睦声を交えながら、ぼくら
はゆっくり地面に指をさして「こころなしだね」「うん」
と、ビー玉のかたちをえづきながら嫌いながら、それでも
水でかたどられているから、芝刈機は近づいて、ぼくらを
白昼に磔にし始め彼女はちょうどワンピースを瘤に近づけ
ていく、死んだ蟻が蟻の死者たちに伴われていく。

堀のあたりを歩き続けて、こどもの声も聞こえなくなって
ぼくらはキスをして眠った、あのうすい闇の中で雲が天幕
のように動いていた、角ばった昆虫の羽音はなまめかしく
て、溶け入るために必要なことだった
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