しめらない/鯉
土の間に爪が入るうごめきを感じるモーターの音と起動音
からなる空回り空回りと言うべきざわめき、木々でなくて
ぼくはかいつまんでいる、概略であって略歴であってそれ
は食物の腐る早さ、食物の腐る早さと音、蝿の、いずれも
の、その早さ、音、寒い日照りの、そういうときに限って
時間はやけに可食性で、けれど吐き捨ててしまう、どこに
かは見当がついていない、が、トルクが回り続ける、風車
が見える、ちょうど観覧車がすべて棺桶だった頃、ドット
刻みの、石棺、にねむる彼女の話が回り続ける。
ふかいみどりの、あまりにも、たしかあの場所にあったの
はポプラで、ぼくたちはその根本で瘤が顔に伝染して
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