街について/Debby
 
桜並木の中を、かつて子どもだった君たちは歩いた、もうずっと歩いていた。雨の気配はずっと遠かった。雪の降らない町だった。平らな屋根の上で、嵐を待っていた。

 三階建てのアパートの、一番下に住んでいる。庭が少しだけある。とかげとかなへびの親子が住んでいる。4月になったから、君たちはゴーヤを植える。目を覚まして、クリーニング屋にもう三か月も忘れていたスーツのことを思い出すときの、あの気持ちのことを。春は良かった、たくさんの言葉が積み重ねられた。風が強い日もあった。レモンバームの苗が蜂を呼んでいた。とてもきれいな歌声なので、彼女のことがとても好きだった。

 舫われた舟たちの、頑なな無口さが嫌い
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