戯曲(習作つづき7)/星☆風馬
 
のうしろの松倉山には
    用意された一万の桂化流紋凝灰岩の弾塊があり
    川尻断層のときから息を殺してしまっていて
    私が腕時計を光らし過ぎれば落ちてくる
    空気の透明度は水よりも強く
    松倉山から生えた木は
    敬虔に天に祈っている
    辛うじて赤いすすきの穂がゆらぎ
    (どうしてどうして松倉山の木は
     ひどくひどく風にあらびているのだ
     あのごとごというのがみんなそれだ)
    呼吸のように月光はまた明るくなり
    雲の遷色とダムを超える水の音
    わたしの帽子の静寂と風の塊
    いまくらくなり電
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