【HHM参加作品】「荒地」/すみたに
は存在という存在は放置されたまま、朽ちてゆかない、錆びつかない、忘却さえ、残されたまま。そこの中ではだから、生物・植物が野放しに充溢してもいるのだろう。けれどもそこで生まれるものは、やはり実りないものでしかない。この詩において「荒地」とはただ地理的な特徴から探られるものではなく、むしろ反転して、耕すべき地、果てのない抗いの地平であると思われる。すなわち、一つの詩を書く際の詩を書いているようにさえ思われる。けれども、荒地においてはやはり言葉が根付かない。まさに冒頭では乏しき詩作が示されている。
>さようなら私たちの懐かしい荒地
>実りを知らない荒地の春
>私たちの残り香だ
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