多分、これで 最後/赤青黄
 
ばっかではないか

なんて

愚問

滑稽

男は一人ごちで笑っていた

一人ごちの意味も分からぬまま

笑っていた



そのとき、白い二つのライトが、この交差点に向かってきていることを
男は直感で知った
先の雨で所々陥没した道路にできた水溜りに足を滑らせながら
車が一台こちらに走ってくるのだ
男は笑っていた
男は全身の力を抜き
白い息を地面に向かって吐いた
唾が口元から爛れていた
それはあまりにも美しく妖艶で儚い淡い飴色を灯した唾液であった
男の腋からは緑色の体液が噴出し
水晶体から飛び出した紅いコンタクトは信号機の色を反芻しながら
紅い水
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