街の絵/月形半分子
 

あふれてやっと満ち足りたかのように安らいでいる人と街。

人は、この絵を見て、これは平和を描いたものですか、と聞くかもしれません。
あるいは、これは環境問題について書かれたものですねと。また、ごみ箱はいつまで増え続けるのですか、とも。
残念ながら、私は何かを考えるような人間ではないので、聞かれても困るのです。また今、万かも千かもしれないごみ箱が、この先どれだけ増えるかも、分かりかねます。ですが、分かっていることもあるのです。それは、この絵は私という老人が見ている街の姿なのだということです。ええ、もちろん、この絵のなかで。

このごみ箱に何が捨てられているのか、私という老人にはわかって
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