街の絵/月形半分子
、犬をつれた老夫婦やカラフルなランドセルを背負った学校帰りの子供たち。夕刊を配りはじめた赤いバイクの新聞配達が行くところを見ると、今はどうやら、午後3時を少し過ぎた頃のようですね。
さて、この白銀杏通りには、この街1番の美しいものがあるのです。
この白銀杏通りの真ん中には、二車線道路の中央分離帯に沿って、真っすぐに並んで立っているものがあるのです。
それは万とも、千ともしれないごみ箱です。青い体に白い蓋で統一されたごみ箱が、道路の真ん中を坂の果ての、晴れ渡ったあの空まで、まっすぐに続いているのです。
その青いごみ箱の中には色とりどりのビニール袋や紙箱がぎっしり詰め込まれ、あふれんばかりに山
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