バスタブに降り積もる、雪/赤青黄
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灰空をバスタブが覆う昼
町の大衆食堂の窓から雪が降っていることを知った僕は椅子から立ち上がるときに肘にスプーンを引っ掛けてまだ一口もつけていないチャーハンをこぼしてしまった
おばちゃんの深いため息と大してぱらぱらでもないチャーハンをよそに
僕は外に向かう
そらは一面灰色で埋め尽くされていた
町にたむろしている猫達の姿はなく
町の商店街のアーケード通りの中ではホームレス達が新聞欄に向けて文句を垂れ流していた
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バスタブにお湯が注がれ湯葉が作られる夜
雪は雨となり町にうっすらと積み重ねられた雪はたちどころに溶
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