バスタブに降り積もる、雪/赤青黄
 
に溶けてなくなってしまった

僕はそんなに悲しくなかったが子供たちはたいそう悲しかったらしく
大人たちがいくら慰めてもなかなか泣き止まなかったそうだ


やっぱり子供は子供で

やっぱり大人は雪が降ったということより雪が降るということにしか興味が無かったのだ



摂氏40℃のお湯に僕は浸かる



縮こんでしまった皮膚、細胞、潤い、そんな肉体の表面を隅々まで水に浸して癒す

だなんて 

人間ってある意味贅沢な生き物


だから人間ってやめられないのさ、めんどくさいところもひっくるめて、ね


*


深夜の町の中に降り積もる雪の花びらは
深夜の少し前に降った雨の水溜りに浮かび、少しだけ憂いを帯びていた


猫がゴミ捨て場の影から顔を出す
猫は足で自分の顔を描きながら天を仰ぐ


その横をホームレスが交差する間に
雪の花びらは淡いピンクの色を帯びて


町の生き物達に春の訪れをしらせるのだ


戻る   Point(1)