ふたり分。/元親 ミッド
 
に到着すると

そこは海岸沿いのへんぴな場所で

日も暮れた暗闇の中に

弱々しいレストランのネオンが見える。

そこまで少し歩かなきゃいけなくて

通り過ぎるタクシーを横目に

タクシー拾おうか。と僕が言うと

彼女は、あたし歩けます。と笑顔で言った。



海辺の小さなレストランに着いて

木製の古びた空色の扉を開くと

お店の中は、まぁやはりそれなりにこじんまりとしていて

ただ、その奥に、鉄製の暖炉があって

薪がパチパチと出迎えてくれた。

素敵なお店ね!と喜ぶ彼女は

その場で、小さく飛び跳ねる。

コートを脱いで、アンテ
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