白紙の日記/御飯できた代
」
蝋燭が短くなって、八重子の凹凸がはっきりする。さっきまでふっくら見えていた顔は、まるで骸骨のようになっていた。黄泉の国の番人にでもあっているような圧力に、芳郎は唾を飲み込んだ。
「それでいい。……それでいいんだ。少し難しかったね。ごめんね八重子。
簡単に言えば、――そうだ。彼らのおかげで、今の僕がある、そういう事だ。だからね、彼らといた記憶を取り出せば、自分自身を見ることができる。記憶を取り出すっていうのは、自分を見つめることなんだ、わかるかい。いや、わかるだろう」
壁と壁が、芳郎に迫った。白いはずの壁は、蝋燭の火でオレンジ色に見えた。久しく電気を付けていない八重
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