ある時友達が欲しいなら、と言われた/すみたに
しげな細い腕、毛むくじゃらの、女のふりした細い腕、
それはしばしば荒縄となって、
靴の脱げた足首を吊るす。
赤い緞帳が開いても、光が及ばない場所で
涙が、煙を放ち始めた。
何人も眼の前を横切り、半券を破り捨てて行く、
通りはもう、真っ白に濡れている。
暗くなった劇場で、オカマ野郎は腹が立つほど優しかった。
針金の刺激は、時に繊細な痛みをくれる。
わたしは嫌悪感に満ちた月の顔を、観たくなくて、
カーテンを閉じた。わたしはもう断り切れなかった。
知覚を抉るような、銀色の、ただの果物、を軽く赤らんだ、
すこしだけ水の冷たさに凍えた手
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