26歳の老後/komasen333
 
見送った春



降りしきる花びらを見て思い出すあの雪のなか来てくれたこと



片隅でちらちら揺れるホコリたち見て見ぬふりでいなす月末



読みたくて仕方がなくてそそくさと仮病を羽織りバイト早退



買ってきたばかりの白い炊飯器しずかに和室で映えて魅せる



頬杖の魔力を知らぬその人にか細き声を滲ませた夏



コンビニへ出かけるように今月も父は薬をもらいにゆく



無駄のない朝焼けを見る横顔は一人残らず綺麗な一重



お土産の芋羊羹を不味そうに食べつつ義父は無言貫く

[次のページ]
戻る   Point(2)