演奏会の夜/砂木
演奏を手離さなかった甥を応援しなければ
リズムの名前も知らないド素人でも拍手はできる
と意気込み はじっこにひっそりと陣取った
いけーと トロンボーン演奏中の甥をみつけ心の旗を振る
もし地震がきたら どうしようと思ったが
どこにいても くるものはくる
畑ではしごに登り 作業をしながら音楽を聞き
リズムに乗ると 踊りながら
林檎の葉っぱを指揮していた甥
いつのまにか 私も葉っぱ楽団の一員のように
甥の音楽人生のタクトに 合わせて揺れる
舞台の上の数十人の楽団の方々が置いている
楽譜の楽譜立てが 銀色の木の絵に見える
白い楽譜を守り 音楽を守り伝え 花開かせるため
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