/鯉
ぅーだの間の抜けた音ばかり流しやがる。おれはゴールデンバットとべっこう飴をすばやくゴミ箱に叩き込んで、少女の足の周りを這い回って引き出しを開けて彼女の髪の色と同じブラックストーンを取り出した。ライターも黒くマジックで塗ってある。膝の辺りを椅子にして、なるべく少女の呼吸(それは彼女の死だった)と同調するように、黒いたばこを吸っている。体から金色が剥がれ落ちていくのがわかる。三本くらい吸い終わって、備え付けの洗面器に向かって投げると気味のいい音を立てて煙が舞った。服を脱ぎ捨てて風呂に入ると、浴槽は黒いインキで満たされている。ざぶんと音を立てて夜の中に潜って、息を止めて少し意識が遠のくまで待った。濡れ烏
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