(批評祭参加作品)観察することば/石川和広
からの生をどう維持し世を渡る必要から「観察」だろう。
彼は「猫について」というエッセイの終わりに自作を引いている。
わたくしは「k」という詩で
われわれはどこから来ないで
どこへ
行かないのか
唯一者としての猫を
観察しつづけて一生をすごしたほうが
まだましだ
問うよりまえに
問われるよりは……
と書いたが、これは変わらぬ信念である。
僕はこの信念を理解できるといえば嘘になる。
別離は僕も何度か体験したことがある。
北村氏とまったくちがう理由で
僕も熱くなりながら「観察」が必要な時期に来
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