味の無いマウス/碧姫
ぽってりとしている
動き回る
縦へ横へ斜めへ
昨日は空白だった
悲しい嘘を重ねながら傍観者
鍋の中で踊っている
乱切りにした人参が
恨めしげに私の目を写す
今日は空白だろうか
午後2時になってまでも
しびれた冷たすぎる足先
さっきまで温めていたのは
放射線状に広がる空想だろうか
掴んだマウスの形に
存在感の無い当然を見つけて
あぁこれも現実だよねとため息をつく
くるんと前回りをして着地
さぁて どこを目指して何を指そう?
明日は空白のはずだ
夜が明ける寸前の闇と光の合間には
きっと一瞬だけそれを埋める
小さな小さなパラグラフがあるだろうけれ
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