世界が私のものだったころ/由比良 倖
極端に寒い季節には神経を抜き去った方が早いよ、むしろ
孤独死が哀しいくらいに合うような夜を東に、海のあなたへ
あのひとが捨てた何人目であろうと死ぬ順番を決めるのは神?
フルサトは空の向こうです知ってます隕石を効果的に避ける方法
あなたにはありふれたことだろうけどそれは私の日常語じゃない
生前葬ごっこをしよう僕が屍体で君がオルガンそれから天使
生のまま乾く魚に蝋燭を三本立てて独り泣く練習
分裂病すれすれだなんて誉められちゃ笑わなきゃよねこんな雨だから
ねえ私あなたに虐待されるのは自虐だから責められないのよ
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