世界が私のものだったころ/由比良 倖
二分間息を止めてよその間僕のことだけ考えていてよ
錠剤とコーラと煙草一カートンこれだけあれば四日は不死身
ぜんざいを甘いものだと知らなくてでも黒いのは知っていました
絵の具にはない黒なんだポケモンを全部言えたら教えてあげる
囁けばどこが鳴るのか知っている心が壊れる音にも慣れる
ありふれたものたちが灰になっていくみんな冷たい星になる、綺麗
コーヒーの残りに吐いたカミソリにおはようを言う僕じゃない何か
息をしてないことにふと安堵して愛と呼ばれたそれを踏みにじる
毒性のある薔薇色が瞼から溢れ出すまで君と紡ぐ死
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