消されてしまった詩は舌の裏に隠されていた/すみたに
風船を破裂させることで鳩を生みだして愛する女に捧げること、それは赤い薔薇でもチューリップにしておくべきで、楽しい思い出よりも喜びに満ちた日々でなければダメだと記しておこう。帰り道に自販機から笑い声がして驚いた、それを笑うのは塀の向こうで夜更かしをして襖の隙間へ消えて行った幼児と、その残された笑い声を真似する鸚鵡だけ。
政治学者に笑われて「不可」を付けられた詩は街角の壁に落書きされていた。
続かないだろう、象の足跡も馬のいななく声も鴎の羽ばたきも、海は蒸発しきっても魚は泳ぐかもしれない、例えばお前の膨らみきった耳の穴で。しかし空気が散逸してしまったら雲は死者に手向ける薔薇に還り
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