消されてしまった詩は舌の裏に隠されていた/すみたに
 
、誰もが夜空の変化に気が付いたと吹聴し、いつのまにかポスターに描かれた禁煙励行のアジテーションは、駅から家に帰れなくなった子どもの瞳に映る、錐先ほどの憂慮と喜びとなり、虎の死骸は火葬され、灰は娼婦のやさしい頬を彩ったとされる。わたしが眠りに着くとお前は夢に油性ペン落書きをして、風船の中に閉じ込められた臍の緒で首の絞まった胎児を開放するために包丁を使おうとする、腐敗した蝦蟇膏を鏃に塗ってわたしの生命に突き刺す、これは戦争なんだと言い放つテレビのキャスター鼻先に一つの吹き出物がある。

曇りガラスに書かれて自然と消えた詩はケータイのカメラに映っていた。

忘れないよと、醤油ダレを垂らしながら豚
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