剰余のゲファーレン/青土よし
爪を突き立ててみるが、破れること無くうつくしさは保持される。心地好い風が、赤い花びらを暗闇へ導く。かけがえの無い季節が、あたためられずに打ち捨てられる。
崇高性の形式は、視線の無化によって喚起される。生命の脱力が、太陽を更に神的なものへと誤読する。自意識を超越した行動の否定は、自意識の否定より残酷な痛みを生む……。やがて、願望のすり替えによって、世界は不気味に蠕動し始める。斯くも無垢に、甘美に、憂鬱に。消費されるのは期待だけでは無いし、囁かれるのは性行為だけでは無い。可視化された個体は、ある限定された哀切ですらありうるからだ。或いは絶念の真後ろにこそ、最良の落涙が提出されるのかも知れない。いず
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)