泡沫/empty
オキーフの骨盤のように
どこか空虚で儚い
想いの海
あなたはどこへ?
孤独な散歩の途中。
夜がまだ私を捉えないから。
夕闇の絶望感が消え
アイスクリームのような夕陽の余韻だけが残る
私は冷蔵庫をあけると
ブルーベリーのジャムを取り出す
硝子の皿に円形に並べたクラッカーに
慎重に
掬い取ったジャムを載せていく
窓の外で誰かが見ているような気がする
人間ではない
何かが
切迫感のない畏怖
獣のようだ
私は窓の外の闇を見つめ返す
無人の廃屋と廃屋の隙間から
遠くの公園の常夜灯が覗いている
無垢の瞳
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)