泡沫/empty
誤算
まどろんだ夢の名残がまだ手のひらに残っている
硝子は半透明な鏡像
私を薄く反射する
今日の食事は
これだけでいい
ラマダーンのつもりではないけれど
食欲がないのだ
私は手紙を読み返していた
かつて愛していた人の
詩のような手紙
〈場所〉とはなんだろう?
時間も
空間も
いっしょに孕んだ
時空?
それよりも
もっと固定的でリアルな質感
それでいて曖昧な
記憶の保存庫でもある
あああの獣は貴方だったのだと
今気づく
霊獣
ゆらめく視界
古代を幻視した折口信夫のように
わたしは今かぎりなく過去へと向かう
それが未来へ行くことだから
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