続続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
吉田の差異について見て行きましょう。
まず、吉田の作品を読んでみましょうか。
白鳥
1
掌(て)に消える北斗の印(いん)。
……然(け)れども開かねばならない、この内部の花は。
背後(うしろ)で漏沙(すなどけい)が零れる。
2
燈(ラムプ)を点ける、竟には己れへ還るしかない孤独に。
野鴨が渡る。
水上(みなかみ)は未だ凍つてゐた。
(後略)
このように、吉田の作品にみられるのは、きびきびとした断言であり、そこに「遊び」は感じられません。漢字の読み方も逐一指定していて、彼の詩は大きな目標に向けて自らを律していく彼の姿勢を如実に表しています。彼は
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