続続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
鍵谷 むしろ力の入れすぎといえないこともない。
田村 若いのよ(笑)。
(中略)
田村 肩から力を抜くということは、たいへんな力がいるということだ。セバスチャン=バッハよ。

 つまり、肩から力が抜け、それ以上に全身から力が抜けているという意味で、後期の田村と西脇順三郎は共通していたのです。『四千の日と夜』の頃の初期田村は、若さゆえに自動的に肩に力が入ってしまい、垂直的人間でなければならない、などの倫理性が強く出ていて、西脇とそれほど似ていなかったのです。後期田村と西脇に対立するものとして、肩に力が入っているとされる吉田一穂が挙げられています。では、後期田村と西脇の類似性、後期田村と吉田
[次のページ]
戻る   Point(6)