moonlight/empty
まどろんだ月のなかで出逢う
不思議にみたされた気持ち
夢に見ていた景色がいま
ここにある
肋骨が植えられた丘の向こう
あなたが手をふっている
にこやかに
僕も手を振り返す
きっとここではすべてが奇跡になる
山茶花を踏み拉き
歩いている山羊の背中をすれ違いざまに撫でる
すばやく
ざらざらとした感触が残り
溶けかかったコーラフロート片手に
僕は何をしているんだろう
僕は何をしたいんだろう
でも君はもう僕の手をとっている
力強く握られた
僕の手はたぶん本物
五時の鐘は鳴らない
ずっと丘を登っているのに
僕の足は疲れない
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