彼の地/ブライアン
どうやら、アニメも見ちゃいないな、と独り言する。
1582年、10月4日の翌日が10月14日にならなければ、
生誕30年分のギャップは埋まっていたかもしれない。
彼は鞄から参考書を取出し、
指をなめ、
油を落とす。
メイソン・ディクソンラインが、歴史の軋轢の中で、
地球の地軸によって歪んだその延長線、
国道113号線は
1970年、一本の線になる。
ユリウスでもグレゴリオでも同じこと。
30年分のずれが、彼女との間を引き裂いている。
ともすれば、彼女の初恋の相手は、
今、塾の参考書をめくるこの少年かもしれない。
知っている夜だ。
雨が降ってきて、あがり、
街
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