仕事/ブライアン
槻駅くらいだっただろうか。吊革に体重をかけながら、窓の外を見る。各駅停車の列車が見える。その車両には二人だけしか乗っていなかった。一人は眠り込んだ男子高校生だった。もう一人はふくよかな女性だった。彼女は文庫本を読んでいた。
男子高校生の体はほぼ椅子と平行にずれ落ちていた。彼を咎める者は誰もいない。彼は髪の毛を短く刈っている。汗がにじむ。皮膚と髪の間から、汗は額に落ちる。彼は口をあいていた。ホームに灯された光が彼を照らしている。車両の光は明かりすぎないだろうか。彼の眠りを妨げようとしているのではないだろうか。だが、文庫本を読む彼女にとっては、ホームの光は暗すぎる。車両の光ではないといけない。彼女
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