仕事/ブライアン
彼女はページをめくる。次の展開が気になる。通勤特急が発車するアナウンスがされる。彼女は顔を上げる。ホームに立つ駅員が何か合図をしている。彼女は再び本に視線を戻した。ふと隣を見る。男子高校生の顔が間抜けに見える。彼女は本に目を戻す。
彼が目覚めた駅は、彼が下りようとした駅の二つ先だった。彼は急いで目をこすり、電車から降りる。電車の扉が閉まる。発車のベルが鳴らされる。乗客は今や本を読む女性一人になった。ゆっくりとスピードを上げていく電車を彼は見ない。駅のホームに付けられた時刻表を彼は必死に見ている。彼の肩には重い鞄がかけられている。首を傾げ、節を鳴らす。ホームに残される。周囲は暗い。虫の音が聞こえ
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