twitter/葉leaf
 
、そこここの空間に虫の柱を作る季節になった。私は自転車で道を進みながら、その虫の柱に何度も衝突する。顔に小さい礫が当たる感触。Tシャツに貼りつく虫もいれば、ジャージの繊維の隙間に足を絡める虫もいる。唇の端に違和感を感じたので拭い去ると精巧な羽虫が蠢いていた

たった一つの沈殿した「さようなら」を たくさんの華々しい「ありがとう」で包んで そうして僕らはいつも無口な天秤のように 血の重さと肉の重さを釣り合わせている 喪失はいつも形のわからないもので 「ありがとう」でどう包んでよいのかわからなくて 本当は天秤も振り切れているのかもしれない

いつも細胞の中で飛び跳ねている歌たちが 遠くからかす
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