twitter/葉leaf
 
かすかにほのかに聞こえてきた朝 僕は夏の体を食べつくして秋の体を着込む 夏と秋を決めるのは僕ではなく 例えば一匹の羽のちぎれた蛾である 死んでいく者たちが存在を遺していくということ 季節はいつもそのようにして今日も僕の歌を書き換える

言葉というものは積木細工です 単語が一つ一つの積み木で 名づけは僕らの知らないうちに傲慢に冷淡になされています 僕は積木の組み合わせに飽きて 自分で積み木を作ろうと こんな夕方を「ひろり」と名付けてみました ひろりは無垢で文脈や同意によって鍛えられてなくて でも壊すには可愛すぎて

廃屋の屋根をひょいと跳び越えて バイクの通り過ぎる慌ただしい音が 僕の鼓膜をひょいと跳び越してきた それは音楽の一つの素子 みるみるうちに増殖し 僕の目の前に交響曲の幻想を描き去っていった さらにひょいと来るのは永遠に続く虫の声 幾つもの音階に分かれて 協奏曲の綱を絞り出した
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