オッド・ダイアグラム 4/平井容子
らかな帆をひるがえしコンダクターは乱舞する
病気の鳩を燃やしてしまいたいのにどう泣いていいのかわからない/化粧水に沈んだ街に匿われて/視野が熱帯夜に凍って/わたしは息をしながら窒息している/髪を毟られて/あるいは満ち足りたピンクの音叉をはじく/強くて長い爪になりたい</span>
故障した心肺機能を拝んで/胴のない羽に全部乗せて軽くなった気になった/わたしの変な声をついばむ鳥になって消えてください/わたしはただ歩きたい./歩きたい/歩きたい/歩きたい/の三乗を指折り数えて/歪んだ口の中に光る臓器を孕んでいく/間違ったらもういちど/嘔吐の中にたそがれの道がある/眠りたい/ある
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