オッド・ダイアグラム 4/平井容子
 
ことができるから/そっとめくったシーツの裏に等高線で書いたバレーに/またひとりで下っていく

        蕁麻疹を患った魚が集まった真紅の海で/月光を集める少年達が肌にゼリーをこぼして遊んでいる/わたしは夢遊病のふりをしてどこの夜にも介在した奮いトーマで/練炭を買った帰り道に永久に治らないものを患った/どうしてこんな風にこぼれていくんだろうね?/濃い潮のにおいにぶつかるまで行かなくてはならないのに/方向とは騒いでいるものだけが得ることの出来る特権でしかなかった/あなたに満ちていたいと思うほかに/つなぎとめておける波止場はなく/それも雨が降れば歪んでしまう筆致だった/それでもいつか/なめらか
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