西海岸/津久井駒彦
たん たん 暗澹たる単色のコンプレクスに
ごう ごう 煌々と星々が鳴る
濃紺のすきまに現象する
白い水平線
意味なし 意味なし と呟いても雲はびょうびょうと流されるばかりで
苦しいような気持ちになって ひとびとの楽しげな明りを振り返る
ああぁ あなたがぁ
と一番意味のないせりふを絞り出して ようやく息をつく
人懐こい太陽を見送ったこの海岸は 今は暗い潮のざわめきの中にある
街の光を遠く うなじのあたりに感じつつ
眼は糸口を追うように水平線をなぞっている
崖の下の砂浜で たましいを研磨するように波が白くあわだつ
星は寒い宇宙でよくもあんなに燃えるものだ
と見上げ
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