久しぶりに短い文章。/小池房枝
久しぶりに短い文章を書きたくなったので書いてみる。短い文章を書いてみると何だかいつも久しぶりだ。嘘だけど。
先日、乗換駅のホームでセミを拾った。まだ生きていた。木のない駅で、人に踏まれるよりは草地に放してやろうと思ったが手の甲から離れない。仕方がないので一緒に急行に乗った。気味悪く思い迷惑がる人もいるかと思ったが、誰も一瞥さえ寄越さなかった。空席を探して一息つくと、やがてセミも、もぞもぞし始めた。タガメではないし血を吸われることもあるまいよとたかをくくってあやしていたら、アイタタタ。口吻を突き刺して来た。血迷うな。私に樹液はない。
やがて終点。改札を通ろうとするとスイカは残高不足。この状態のま
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