漏れが美少年だった日々(対アトピー戦記)/虹村 凌
めれば、顔中が体液で張り付き、髪までパリパリになっている。
それをシャワーで洗い流さなくてはならない。
一番、憂鬱な瞬間である。だから、朝目覚めるのが嫌だった。
このまま、目が覚めなければいいと何度も思った。
夢じゃないかと、何度も思った。
しかし、これは現実であり、目は毎朝覚めるのだ。
しかし、ある朝、俺は壊れた。
いつものように目が覚めた。
多少はなれた、顔の体液による張り付いた違和感。
いつもと違う。片目が開かない。顔が枕から剥がれない。
顔中がヒリヒリする。俺は声を殺して泣いた。
その頃、俺は東京(祖師谷)に母方の祖母と同居していた。
妹と親父と母親
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