八月の小石/小池房枝
に紺碧の海のふたかけら
蝙蝠は幸福ぱたぱた飛んで来い
夜のチドリ怪我してるふりで鳴かないで
廃屋の薔薇カラムシにのまれてる
雪州も長崎県下 黙祷す
銅鏡の伊都国 風りん南部鉄
アスファルト色の猫の目静かな夜
黒猫が呼ばれてニャーと去る月夜
水面のさざ波はみな夜の仔ボラ
フナムシもプロムナードで夕涼み
グラジオラス ネジバナみたいにしてごらん
エンジュ散る風に順じて逆らって
ようそろと風にひとひら蓮の花
深夜には海鳴り聞いてる水族館
息継ぎのたびにウミガメ夢あらた
紅花を揉みながら染めた西の空
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(7)