八月の小石/小池房枝
 
に紺碧の海のふたかけら

蝙蝠は幸福ぱたぱた飛んで来い

夜のチドリ怪我してるふりで鳴かないで

廃屋の薔薇カラムシにのまれてる

雪州も長崎県下 黙祷す

銅鏡の伊都国 風りん南部鉄

アスファルト色の猫の目静かな夜

黒猫が呼ばれてニャーと去る月夜


水面のさざ波はみな夜の仔ボラ

フナムシもプロムナードで夕涼み

グラジオラス ネジバナみたいにしてごらん

エンジュ散る風に順じて逆らって

ようそろと風にひとひら蓮の花

深夜には海鳴り聞いてる水族館

息継ぎのたびにウミガメ夢あらた
 
紅花を揉みながら染めた西の空
 

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