八月の小石/小池房枝
 


オトウサンモドキのような百合の群れ

人に化けそこねて百合に咲いている

ぽっかりと月手放してサルスベリ

瞬かぬ月は妖かし一つの目

サルスベリ百日の火花咲き継いで

月仰ぎ雲湧くがごと百日紅

空あります海もあります駐車場
 
幸くあれと風の手のひら田を渡る

 
向日葵とダリア互いのように咲く

アカマンマあの夏からの御ままごと

秋立ちてキツネノカミソリつっと立つ

何のために生まれてきたのか知っている

さしのべる手を受け止められるはずがなくても
 
井の中に蛙飛び込む水の音

ニンゲンが星に願いをかけるの禁止

彗星の軌道と今年も交叉する


風は風 空は空そして ひとはひと 
[グループ]
戻る   Point(7)