岩田宏詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
容について決着も付けられない。岩田の詩には、そのような詩の本質が如実に表れていると言えます。
ところが、岩田も、ある一点においては留保しませんでした。
もともと詩人とは憑かれるべき存在だった。神が、自然が、霊感が、信念が、時には社会科学が、詩人というボイラーにとり憑くと、ボイラー内部の温度はどんどん上って、じきに圧縮された熱いことばが吐き出された。いわば詩人は一箇の道具であり、超越的なものの通過する道に過ぎなかったわけである。だが、現代の詩人たちは、このような巫女的な存在から、字義通りの創造者へ変貌する道程を、徐々にではあるが確実に歩んでいる。ことばによる被創造物を自由にコントロールする
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