岩田宏詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
分裂を語っています。岩田は、自分自身が眠いとか眠りたいとかそういうストレートな答えを返しません。「いやな唄」の問いかけに対して、答えを留保するのです。
 さらに、この留保の態度は、自分や人間の備えている分裂に対しても向けられています。岩田は、眠りたいという欲求と眠れないという現実、そのどちらかを選択するわけではありません。つまり、眠くて仕方ないのだが眠れなくて腹が立つ、として欲求の方に軍配を上げたり、眠いけれど眠れないのは仕方がない、として現実の方に軍配を挙げたりはしません。岩田は、自分や人間の分裂についての態度も留保します。そして、自分が分裂しているというそのことについても、それを承認したり拒
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