一虚一実/遠心力/茶殻
隣国のアイドルを眺める
白黒映画の隅を軽やかに歩く犬を眺める
点と点をつなぐように
父と母のそれぞれの息子としての役柄を至上とするならば
やがて父と母の死に寄り添って
僕は失われるべきなのか
僕は蜘蛛の糸を掴むだけの大根役者にすぎないのか
ああ
骨の裏にすむ熊よ
自由が踊るだろう
風になびくだろう
地球儀の無数の交点よ
幸福な私はそこにいない
父と母に充分な幸福をもたらすだけの
私じゃないんだよ
色とりどりのゴムボールが降り注ぐ
骨の裏で
熊よ
鮭がない 鮭がない と
うつ伏せていれば
色とりどりの雨は
あざとくも私の不幸を彩るだろう
代理戦争
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