一虚一実/遠心力/茶殻
 
戦争の号砲で人々は駆け出す
あてがわれたコーナーを
あてがわれた直線を
人々は走る
僕は一番内側を走る権利を逃して
それぞれの無邪気を受け止めるように
ただ私がそのレーンを踏み越えないように
そして内側を走る大切な人を受け止められる私を
維持するために
足枷を引き摺りながらコーナーを走る
あなたを支えるのではなく
あなたを保つ私を保つのだ
カウンセラーにでもなったら、と
職を失って間もない私に告げた彼女は
きっと
彼女以外の言葉を得られずにいた私の心に
気付いてはいなかったろう

ちっとも当たらない天気予報に眉を顰め
それ以上に何の足しにもならない一日分の占い
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