萩尾望都私論その7 私の赤い星3「生めないクロバ」/佐々宝砂
 
なのだと受け止めて、男についてゆけるように必死で自分を訓練しただろう。このあたりのことはマンガに描かれていないので、本当のところはわからない。全部私の想像だ。クロバは、きちんと命令を守り、一方できちんと自己主張する、自立した一個の人格を持っているように見える。だがクロバに鬱屈がないと言ったら嘘だろう。たとえば、クロバがサンシャイン(セイの友人、地球人、男、丸眼鏡にブロッコリみたいな髪)とショーチューを酌み交わすこんなシーンがある。

「エルグとちがって! オレのこと猛獣だと!」
「いやーおまえ女っぽいよ!美女だよ!ほーんと!」
「おまえも地球人にしちゃ話のわかりがいいじゃーん」

女扱
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