狐の嫁入り/永乃ゆち
 


狐の嫁入りと言う言葉を聞いたのは中学生の頃


何故か白い狐の面を被った白無垢のお嫁さんを思い描いた


林の中をひっそりと進む行列が雨に濡れて哀しく思えた


何故狐の面なのか、何故林の中なのか


最初に愛した人は血の繋がりのある人だった


結果、無理矢理見合いをさせられ無理矢理子どもをもうけた


子には可哀想な事をしているといつも泣いていた


義母は意地汚く義父は厭らしかった


夫は最も薄汚れていた


ある日私は子を連れて家を出た


あんな夫の子だが罪はない


そうしてその夜


私は家に火をつけた
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