甘いウェハースのように、ほろ苦く。あるいは、循環する名付け直された世界について。/いとう
 
〜tkiichi/)を彷彿とさせる。
 
そして彼の詩の特徴は、特異なシチュエーションが平易に描かれていることにある。いつも軽飄な匂いを感じる。持ち味と言っていい。一見すると軽いのだが、その内実にセンチメンタルなリリック(抒情)が塗り込められている。幾層にも甘いクリームが折り重なったウェハースにほんのりと苦みを感じるように、どこかにほろ苦さのエッセンスが入っていて、彼の詩を読むといつも、このイギリス生まれのお菓子を思い出す。
 
 
 
2.
 
ときどき世界が波でできているように感じる。
世界は波長の差異と強弱によって構成されている。
共鳴したり、反発したり、対消滅したり、増
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